花粉症対策に食生活の改善は必要か?

 

食生活を改善して花粉症の症状を和らげたいとお考えの方も多いと思われます。

 

しかし、これを食べると確実に花粉症を改善させるというような食べ物はまだありません。

 

スギ花粉症緩和米という、減感作療法と類似の効果を狙った農作物の研究が行われているという話もありますが、遺伝子組み換え作物であること故に、安全性や環境への影響を疑問視する向きもあり、実用化へにはまだ見通しが立っていません。

 

将来の展望に期待しつつ、現在のところは食生活に過度な期待をせずに薬物療法などの直接的な治療方法に頼った方が得策といえます。

 

もちろんこのこと、食生活をおろそかにしていいという話ではありません。

 

栄養バランスの良い食生活を心がけ、からだの調子を崩さないことは、特定の食材に偏ることによるアレルギーリスクを避ける意味においては重要なのです。

 

花粉症を患っている方が食べることを避けた方が良い仮性アレルゲンとは

 

花粉症を改善させるというような食べ物はまだありませんが、花粉症を患っている方が食べることを避けた方が良い食べ物は残念なことに存在します。

 

まず一つに仮性アレルゲンというものがあります。

 

これは花粉症をはじめとしたアレルギー反応が起こるときにはからだの中で様々な化学物資がつくられますが、それらと同じ物質を多く含む食品などを仮性アレルゲンとよぶ場合があります。

 

これは、花粉のような、アレルギーを引き起こす元となる物質がアレルゲンとよばれるのに対し、アレルゲンではありませんが結果的にアレルギー症状の悪化を招くために仮性アレルゲンとよばれるのです。

ヒスチジンとヒスタミン

 

仮性アレルゲンの一つにサバなどの赤身魚があります。

 

赤身魚にはヒスチジンという物質が多く含まれています。

 

ヒスチジンは必須アミノ酸の一つです。

 

必須アミノ酸はからだの中でつくることができない物質で、食べ物から摂る必要があるのですが、そのヒスチジンと、花粉症の原因物質の一つであるヒスタミンは誘導体の関係にあります。

 

誘導体とは、お互いの分子の形や化学的性質などが似ているものを指します。

 

このことは、つまりヒスチジンになんらかの化学変化が起こるとヒスタミンが生まれやすいということでもあるのです。

 

そしてこの化学変化を起こすのがヒスタミン産生菌です。

 

ヒスタミン産生菌とは

 

ヒスチジンからヒスタミンをつくる菌は数種類ありますが、それらはまとめてヒスタミン産生菌とよばれています。

 

そして都合の悪いことに、赤身魚にはこれらの菌が付着していることが多く、先述の高いヒスチジン含有量と相まって多くのヒスタミンをからだの中に取り入れてしまうことになります。

 

この場合、花粉症で元からヒスタミンが多くなっている状態からさらにその量を上乗せする形で症状が悪化してしまうことになります。

 

ですが、このヒスタミンを大量にとってしまうと、花粉症を患っていなくとも中毒症状を起こす場合もあり、ヒスタミン中毒ともいわれます。

 

ヒスタミン中毒対策

 

ですが赤身魚をまったくもって食べてはいけないということではありません。

 

問題なのは赤身魚単体ではなく、赤身魚とヒスタミン産生菌が合わさってヒスタミンが生じるのですから、ヒスタミン産生菌についての対策を施せば良いのです。

 

ヒスタミン産生菌はその名が示す通り菌類ですから、その対策は食中毒対策に通じるものがあります。

 

菌が原因となる食中毒には、口の中に入れた菌そのものが食中毒を起こすものと、菌がつくりだした毒素が起こす二つのタイプがあります。

 

ヒスタミン対策において参考になるのは、菌自身ではありませんから後者のタイプです。

 

まずは新鮮なうちに食してしまうのが一番です。

 

それがままならないときには保存するわけですが、なるべく低温が望ましいです。

 

すなわち常温より冷蔵、冷蔵よりチルド、冷凍が好ましいです。

 

しかし、いくら低温で保存していても、温度を戻すと菌は再び活動を始めますのでその点も十分に注意してください。

 

次に調理についてですが、ヒスタミン対策においては食べる直前の加熱の有無はあまり関係ありません。

 

加熱程度の温度では菌は死滅しても、それまでに菌によってつくられたヒスタミンを分解することはできないためです。

 

ただし、これ以上ヒスタミンを増やさないという目的では十分有効です。

 

一度増えたヒスタミンは減らせないことを念頭に置いておきましょう。

花粉症の原因となっている花粉と共通の特徴を持つ交叉抗原(こうさこうげん)

 

仮性アレルゲンの他にも避けた方が良い食べ物はあります。

 

それは、その人の花粉症の原因となっている植物の花粉と共通の特徴を持つ食べ物です。

 

通常、花粉そのものを食べ物として口にする機会はありません。

 

しかし、普段わたしたちが口にするような食べ物の中に、花粉に含まれている成分と似ているものが入っていることがあるのです。

 

アレルギー反応とたんぱく質

 

花粉症は花粉の中に含まれるたんぱく質がアレルゲンとしてはたらくことによってアレルギー反応による症状が起こります。

 

このたんぱく質という物質は、様々な種類のアミノ酸という物質がたくさん集まりパズルのように複雑に組み合わさることによってつくられています。

 

このアミノ酸の組み合わせパターンは無限とも言えるくらいにたくさんの種類が存在します。

 

花粉症をはじめとする大多数のアレルギー症状は、主にこの数多あるアミノ酸の組み合わせのうちの特定の組み合わせに、からだの免疫システムが反応することによって始まるのです。

 

いわば花粉はこの特定の組み合わせを持ったたんぱく質を含んでいるわけです。

 

このときにお互いに異なるたんぱく質の間でも、アミノ酸の組み合わせの一部に共通の部分が存在する場合があります。

 

このことをパズルに例えてみます。

 

出来上がった完成品の絵がたんぱく質だとすると、それを構成するピースがアミノ酸です。

 

ふたつの絵を見比べてみると、違う絵ではあるのだけれどもよくよく見ると一部に似ている部分があります。

 

さらにその部分をよく調べると同じピースの組み合わせが使われているではありませんか。

 

これが、アミノ酸の組み合わせの一部に共通の部分が存在するという状態です。

 

この共通の部分が、運悪くアレルギー反応と関係する特定の組み合わせだった場合、つまりある食品の中に花粉に含まれる成分と似ているものが入っている場合、その食品は花粉症を患っている人に対して、なんらかのアレルギー性の症状を引き起こす可能性が非常に高くなります。

 

このことを特に、その食品と花粉との間に交叉抗原性があるといい、そのことによって起こるアレルギー反応は交叉反応とよばれます。

 

交叉抗原性を持つ食品

 

また、仮性アレルゲンが花粉症の種類に関係なく作用してしまうのに対して、これらの交叉抗原性を持つ食品の方は、患っている花粉症の種類によって発症の有無の違いがあります。

 

交叉抗原性を示す一例を挙げますと、シラカバ花粉症を患っている人が、リンゴ、モモといったバラ科の果実を食べたとき、ヨモギ花粉症の場合ではセロリを食べたときになどです。

 

口腔アレルギー症候群

 

この場合、鼻から吸い込まれる花粉に対して口から食べるものですから、症状は口まわりや胃などの消化器官にあらわれやすくなります。

 

主な症状としては口のまわりのかゆみや舌のしびれ、吐き気などです。

 

アナフィラキシーショックを引き起こす場合もありますので十分に注意が必要です。

 

これらの症状を口腔アレルギー症候群とよぶこともあります。

 

仮性アレルゲンとは異なり、自分がどの食品に対して口腔アレルギー症状を起こすのかわかりにくい場合もあります。

 

この場合、医療機関でアレルギー検査を行うことである程度わかりますので、食べたときに違和感を覚えたけどはっきりしないときなどには有用ですので積極的に利用するとよいでしょう。

 

では食品でアレルギーを起こすことがわかった場合はどうしたらよいのでしょうか。

 

まずはその食品を避けること第一ですが、他に加熱調理という手段もあります。

 

これはアレルゲンの多くがたんぱく質であることに関係しています。

 

たんぱく質が複数のアミノ酸からつくられていることは先に述べましたが、そのこと故に複雑な構造になっていて熱による攻撃に弱いともいえるのです。

 

一例として、たんぱく質が主成分であるたまごを加熱すると全く別の状態になって冷やしても元の状態に戻らないなどがあります。

 

生食が駄目でも菓子や缶詰、ジャムなどでは大丈夫な場合がありますので試してみてはいかかでしょう。

花粉症と相性が悪いアルコール

 

付き合いや接待などでの飲酒

花粉症を患っている方は飲酒は控えた方が無難です。

 

付き合いや接待などでやむを得ない場合もありますが、それでも過度の飲酒は避けることを心がけましょう。

 

花粉症をはじめとするアレルギー疾患は、お酒に含まれるアルコールがからだに与える影響ととても相性が悪いのです。

 

アセトアルデヒドの作用

 

アルコールを摂取すると胃や小腸から吸収され、その後肝臓で酸化されてアセトアルデヒドという物質に変わります。

 

このアセトアルデヒドは血管を拡張するはたらきを持っています。

 

お酒を飲むと顔が赤くなるのはこのためです。

 

この状態を血行が良くなったというような言い方もできますが、アレルギー疾患にとっては悪い影響を与えることがあります。

 

血液の流れがスムーズになることで、鼻の粘膜の腫れが大きくなることによる鼻づまりや、目や皮膚のかゆみに対して敏感になってしまうなどです。

 

それだけではなく、アルコールは薬の効き目を強めてしまうはたらきも持っていますが、これは薬の副作用も強めてしまうことでもあるのです。

 

一例として、抗アレルギー薬の副作用の眠気が強く出てしまうなどがありますので、花粉症の薬を服用している方は十分に注意してください。

 

花粉症と飲めない人

 

また、いわゆるお酒に弱い人というのはアルデヒド脱水素酵素というもののはたらきが悪い人のことを指します。

 

このアルデヒド脱水素酵素は、アルコールが酸化されて出来たアセトアルデヒドをさらに酸化して酢酸というからだにとって無害な物質へ変えるはたらきがあります。

 

この酵素のはたらきが悪いと、からだの中のアセトアルデヒドが長い間残ったままの状態になってしまいます。

 

お酒に弱い人がすぐに赤くなったりするのはこのためです。

 

アセトアルデヒドが血管に与える影響も合わせて考えると、花粉症を患っていて、なおかつお酒に弱いような人は飲酒行為に対してより慎重になる方がいいでしょう。