花粉症の知識を深める

 

今や国民病ともいえる花粉症です。

 

需要があることで対策の進展が期待できるという見方もできますが、現在、花粉症を発症している人だけでなく、花粉症予備軍がたくさん存在する病気でもあります。

 

検査をはじめとした対策は重要です。

 

知識を深めて積極的に予防、改善に取り組みましょう。

からだがアレルギー反応を起こすことによって症状が出る花粉症

 

花粉症は、からだの中に入ってきた花粉を異物とみなすアレルギー反応が起こることによって、鼻水や鼻づまり、目のかゆみ、涙といった症状が出てきます。

 

よって花粉症は、花粉に特に反応するアレルギー性鼻炎、結膜炎という見方もできます。

 

花粉はその種類に応じて、特有のたんぱく質成分をそれぞれ持っています。

 

花粉がからだの中へ侵入すると、その花粉から溶け出した特有のたんぱく質成分が、マクロファージという、白血球の一種に食べられます。

 

マクロファージからは、食べたたんぱく質成分がどういうものなのかという情報が、リンパ球のヘルパーT細胞を介して、同じくリンパ球であるB細胞へ伝わります。

 

B細胞は受け取った情報を元にIgE抗体というものを作ります。

 

B細胞によって作り出されたIgE抗体は肥満細胞というものの表面に取り付きますが、この取り付いたIgE抗体は、花粉を繰り返し取り込むことによって蓄積されていきます。

 

この状況は、よくコップやバケツに溜まっていく水に例えられます。

 

この、肥満細胞に取り付いたIgE抗体が一定量に達したとき、すなわち水が満杯の状態になると、新たに取り込まれた花粉に対して、IgE抗体の反応が顕著にみられるようになり、肥満細胞から、ヒスタミンをはじめとした各種の炎症物質を放出させます。

 

これが俗に花粉症デビューといわれているものになります。

花粉症にはあまりみられないアナフィラキシーショック

 

重大なアレルギー反応の一つにアナフィラキシーショックというものがありますが、花粉症においてはあまりみられません。

 

これは、花粉が、アナフィラキシーショックを高確率で引き起こすハチ毒のように血液中へ直接侵入するものではないためです。

 

ただ、口腔アレルギーに関係する食べものを食べた場合、食べものという形で大量にからだの中へ取り込むことになりますので注意が必要です。

スギとヒノキが多い理由

 

花粉症の種類はたくさんありますが、国内で患っている人が圧倒的に多いのはスギとヒノキの二つです。

 

スギ林

ではなぜ日本ではこれらの花粉症が多いのでしょうか。

 

これには戦後に国が実施した政策が深く関わっています。

 

戦後、復興や成長で住宅の需要が高まりました。

 

このことに対応するために、木造住宅の建材として使われるスギやヒノキが、国の政策として大量に植林されました。

 

その後、時代を経るにつれて、マンションをはじめとした、鉄筋コンクリートを使った住宅の普及などにより、住宅用木材の需要は当初想定してたほどには伸びませんでした。

 

そのことに加えて、物価や為替レートの変動により価格の安い外国産の木材が市場に入ってきました。

 

このため、価格競争力に劣る、つまり値段が高い国産木材はますます売れなくなります。

 

その結果、本来なら加工するために伐採されるはずであった大量のスギやヒノキの木がそのまま残ることになったのです。

 

すなわち、スギ、ヒノキの花粉症は人工的につくられた病という見方もできるのです。

 

これは、植えてから伐採するまでに長い年月を費やす木材という商品特有の性格故に、将来の市場予測を見誤ったともいえます。

 

また、スギやヒノキを植えるときにそれまで生えていた木を伐採して、置き換える形で植えられたために、本来、雑木林だった所が、スギやヒノキのみ存在するような単相林になってしまい、土砂くずれのような災害対策などにも悪影響を与えています。

日常生活でおこなえる花粉症対策

 

花粉症は誰でもなる可能性がある病気です。

 

まだ花粉症になっていない方は、花粉症を将来において発症する可能性があるかを、アレルギー検査を受けることで大体を知ることができます。

 

花粉にさらされる機会を減らすことで発症を遅らせることもできますので、既に花粉症を患い、辛い思いをされている方だけでなく、花粉症を発症する可能性がある方方も、日常生活でおこなえる花粉症対策をとりましょう。

 

外出時にはマスクが必須

 

花粉症にマスクは有効

症状を抑えるために薬を服用するなど以外に、まず、花粉をからだの中になるべく取り込ませないことが重要です。

 

インフルエンザ対策などで疑問視されることもあるマスクの着用ですが、花粉症対策においては間違いなく有効です。

 

インフルエンザなどの原因となるウイルスや細菌は、付着した量がごく微量だったとしても、からだの中で増殖するおそれがありますが、花粉症の場合はからだへ入る花粉の量そのものがその後の症状を左右するためです。

 

また、ウイルスや細菌などに比べて花粉のサイズは大きいので、市販のマスクで十分侵入を防ぐことができます。

 

昔ながらのガーゼマスクもよいですが、すき間からの花粉の侵入を考慮すると、顔の形に合わせて外枠を曲げることができる不織布タイプのマスクがより好ましいでしょう。

 

眼鏡の方がマスクを着用すると、時に眼鏡が曇ることもあるかと思います。

 

この場合、曇り防止剤を塗布することで防げますが、マスクを着用する際には、外枠部分を鼻の形に合わせてちゃんとフィットさせておくことも忘れないようにしましょう。

 

眼鏡については、ゴーグルのように目の周りとフレームの間にできるすき間を樹脂で埋めたタイプのものも市販されています。

 

密閉性を高くすることで、目からの花粉の侵入を防げる他に、曇り防止や紫外線カットといった加工を施した製品も多く、付加価値にも優れています。

 

普段使われるものと比べると少々目立つのが難点といえますが、目の症状が特にひどいといった方などは、その効果を試してみる価値は十分にあるでしょう。

 

花粉を家の中に持ち込まない工夫を

 

家の中での生活にも気を配りましょう。

 

帰宅時に服に付いた花粉を払い落とす、洗濯物はなるべく部屋干しで済ますなどの対策がまず挙げられます。

 

部屋干しについては、細菌の繁殖による生乾きのにおいが気になりますが、最近は部屋干し用の洗剤も販売されていますので、乾燥機や扇風機などとともに積極的に活用していきましょう。

 

布団干しについても同じようなことがいえます。

 

布団乾燥機の使用、部屋の中に日光を取り入れて干すといった、屋内で完結するような方法が一番好ましいのですが、やむなく外に出して干す場合でも、対策次第で花粉のリスクを減らすことが十分可能です。

 

日が昇って気温が高くなるとともに、より布団もふかふかになりますが、花粉の飛散量も増え、当然布団に付着する量も増えてきます。

 

ですので、布団を家の中に取り込んだら掃除機をかけて花粉を取り除きましょう。

 

ハンディタイプのクリーナーがあれば、事前に外でかけておくのもいいでしょう。

 

ところで、布団を干す際には布団を勢いよく叩くといった光景が頭に思い浮かぶ方もおられるかもしれません。

 

ですが、これはあまり好ましいものではありません。

 

どうしてかというと、布団を叩くことで、中のダニやほこりといった、ハウスダストの類が外へ排出されるわけですが、布団の中に無数に潜んでいるものをすべて叩き出すのは現実的にはほぼ不可能なのです。

 

ですので、からだに直接触れる表面部分に浮き出たものを掃除機等で除去するに留めておきましょう。

 

静電気関連グッズも有効です。

 

静電気による花粉の付着を防ぐ帯電防止スプレーも有効ですし、逆に静電気の力で、家の中の花粉を集める空気清浄機もあります。

 

また、スギ花粉が飛散する時期は、まだ暖房器具を使う機会もあるかと思われますが、この場合、定期的な換気が必要な石油やガスを使用するものよりも、換気不要な電熱器具の方が望ましいでしょう。

 

ただ、石油やガスのときと比べて乾燥しがちになるので注意が必要です。

 

これは、炭化水素である石油やガスを燃焼させると、熱とともに二酸化炭素や水分が発生するためですが、電熱器具の場合、このような化学反応を経ることなく、電気エネルギーから直接熱エネルギーを得ているからです。

 

その場合、家の中で花粉が舞い上がるのを防げることからも加湿器の使用がいいでしょう。

 

ただし、加湿しすぎると電化製品の故障の原因にもなりますので、その点は十分に気をつけてください。

花粉症は高齢者のほうが症状が軽い?

 

高齢の方は花粉症の程度が若い人に比べて軽くなる傾向があります。

 

これは年齢とともに免疫力が弱まるためです。

動物も花粉症になる?

 

ヒト以外の動物も免疫システムを有する以上、花粉症にかかる可能性を持っています。

 

過去に野生のサルの中に花粉症にかかった個体の存在が確認されていますし、ペットとして飼われているイヌやネコにも花粉症はみられます。