花粉症の原因!花粉の特徴を知る

 

植物がその生態を維持していくのに必要不可欠な物質といえる花粉ですが、花粉症を引き起こす最大の外的要因は、言うまでもなく植物から出る花粉です。

 

その花粉が病気の原因となるのは、単に花粉自体が高い危険性を持つというわけではなく、いくつかの要素が組み合わさった複合的要因によって、あの悩ましい症状が引き起こされるのです。

 

では花粉とはそもそもどういうものなのでしょうか。

種子植物

 

植物の分類で種子植物というものがあります。

 

これらの植物はその名前の通り、まかれた種が発芽することによって、そのなかまを増やしますが、花粉はのその種をつくる過程で必要になるものなのです。

花粉は毒なのでしょうか?

 

この花粉は、病気の原因物質であるのにもかかわらず、毒、毒物というような言い方は普通しません。

 

これはどうしてなのでしょうか。

 

通常毒というと、日々わたしたちのからだの中で絶えず起こっている種々の生理反応を邪魔するようなはたらきを持つものを指します。

 

その一例を挙げますと、各種イオンのやり取りを妨害して筋肉や神経を麻痺させる、赤血球を溶かして貧血を起こすなどです。

 

ところが、花粉にはこのような生理作用がありません。

 

花粉症の正体は、からだの中に異物として入ってきた花粉に対し、本来なら人体に対して毒性を持たないにもかかわらず、からだの方が過剰反応を起こしてしまい、その結果、各種の炎症を生じるというアレルギー反応であり、花粉はその原因物質のアレルゲンなのです。

 

アレルゲンとは

 

アレルギー反応が関係してる場合、花粉だけが原因になるというわけではありません。

 

花粉に限らず、たんぱく質という構造を持つありとあらゆる物質がアレルゲンとなる可能性を持っているのです。

 

また、一般的に毒とよばれるものが、ほぼすべての人に作用してしまうのに対し、アレルゲンの場合には、花粉症になる人、ならない人という違いがみられるように、何がその人にとってのアレルゲンとなるのかも個人により大きく異なっています。

 

ちなみにハチの毒は、先述の赤血球を溶かすなどの、本来の毒としての作用だけでなく、アレルゲンとしてもはたらいてしまい、アナフィラキシーショックのような深刻な事態をも招く危険性を持ち合わせています。

花粉の粒は1ミリの10分の1から100分の1

 

では、なぜ花粉がこれほどにまで問題になり、毎年のごとく注目されるのかというと、からだの中で何か能動的にはたらくというような化学的特徴よりも、むしろ、その粒の大きさという物理的特徴に理由があるのです。

 

花粉の粒の直径は、植物の種類によって異なり、大体10〜100マイクロメートルです。

 

1000マイクロ=1ミリですから、大きいものでも定規の最も小さい目盛の10分の1くらいに小さいと考えれば、イメージが湧きやすいでしょう。

 

この粒の大きさが、粘膜を介してからだの中に入り込んだり、風に乗って移動することを可能にしてるわけです。

 

元から粒の細かい花粉ですが、さらに厄介なことに、花粉が水分を含むと、膨張して破裂し、より細かいかけらへと変化します。

 

つまり雨天時には、花粉が水分の重みによって地面に落ちることで、飛散は一時的には抑えられますが、後により多くの花粉が飛ぶと同じような状況が作られてしまうのです。

 

これらの特徴が、花粉をアレルゲンとしての存在を際立たせているのです。

植物による発症リスクの大小

 

花粉がアレルゲンとしてはたらき、個々の毒性を持たないのなら、花粉症の発症リスクの大小と花粉の種類は関係がないように思えます。

 

しかし、実際はそういうわけでもありません。

 

事実、日本においては、スギやヒノキといった、特定の種類の植物による花粉症を患っている人が大半を占めています。

 

なぜこのような違いが生じているのでしょうか。

 

それには大きく分けて二つの理由が挙げられます。

 

一つは、原因となる植物の数が単に多いというものです。

 

もう一つは、その植物自体が、より多くの花粉を飛ばすつくりを持っているというものです。

異なる飛散量の原因

 

原因となる植物のスギやヒノキの数が多い理由としては、社会の需要に応じてたくさんの数の個体が植林・栽培された、雑草のように繁殖力に優れているなどが挙げられます。

 

それでは、花粉の飛散量の違いに関係してくる植物のつくりとは一体どういったものなのでしょうか。

 

種子植物が種をつくるには、お花から出た花粉がめ花にたどり着き、受粉という過程が必要になります。

 

しかし、植物は自ら動くことはできないので、この受粉が行われる際には、何らかの力を借りる必要があるのです。

 

被子植物と裸子植物

 

ここで種子植物は、被子植物と裸子植物という分類にさらに分けることができます。

 

そして、この被子植物と裸子植物とでは、花のつくりが、見た目にもわかるくらいに大きく異なっているのです。

 

外観的特徴を備え昆虫や鳥などが花粉を運ぶ動物媒花

 

動物媒花の中でも多くを占めている虫媒花

大部分の被子植物は、特有の色彩や香り、蜜を備えた花を咲かせます。

 

これらは、おしべやめしべがある中心部分を花びらが囲んだ形状で、わたしたちが普通に思い浮かぶ花のイメージと重なるものです。

 

贈答や観賞目的に消費される機会も多いことからも、外観的特徴を備えているといえますが、これは、わたしたち人間が楽しむだけでなく、多くの昆虫や鳥などが花を探す際の目印ともいえるものなのです。

 

これらの生き物が、主に花の蜜を目的にして花から花へと移動する際に、からだに花粉が付着し一緒に運ばれることによって受粉が行われるのです。

 

このような花粉の運ばれ方をする花は動物媒花とよばれ、その中でも多くを占めている昆虫によるものを特に虫媒花とよびます。

 

また、被子植物が、数や種類で裸子植物を大きく上回っているのは、このような共生関係によって勢力を伸ばすことができたためと考えられています。

 

風媒花

 

一方の裸子植物の花はどうでしょうか。

 

こちらの方は色彩に乏しく、花びらもありません。

 

この、目立たない地味な形状は、一般に認知されている花のイメージとはかけ離れ、場合によっては、花と定義されないこともあります。

 

また、栄養分となる蜜も備えていないので、昆虫などの生き物も好んで寄り付きません。

 

ですので、彼らに花粉の運搬役を任せることもできません。

 

では、どのようにして花粉を運ぶのかというと、もっぱら風の力に頼る方法になります。

 

裸子植物の花は、風が吹いて枝や茎が揺れれば、容易に花粉が放出されます。

 

裸子植物という名前が示すように、がくや花びらがない、むきだしの形状は、花粉を飛ばすのに適しているといえるでしょう。

 

このようなしくみを持つ花は、風媒花とよばれます。

 

そしてこの風媒花であることこそ、花粉症を引き起こす原因の植物になる最大の要因なのです。

 

先に述べた動物媒花では、花から花へとピンポイントで効率よく花粉を運ぶことができます。

 

これに対し、風媒花の場合は、お花から放出された花粉が目的のめ花にたどり着けるかは、まさに風まかせで非常に効率が悪いものになります。

 

ですので、下手な鉄砲も数撃てば当たるのごとく、大量の花粉を広い範囲にまき散らす必要があるのです。

 

ちなみに、一部の被子植物もこの風媒花に含まれます。

 

ブタクサやシラカバ、イネなどがこれにあたり、これらの種が花粉症の原因植物として挙げられる機会も多いことについて、合点がいくものになります。

 

また、このような風媒花の手法は、動物媒花のものよりも原始的であり、シダ植物をはじめとした、種子植物の先祖にあたる植物類にも共通するものです。

 

このことにまつわる花粉症に類似した事例としては、家の中で発生したカビが、体調不良の原因の一つに挙げられることがしばしばあります。

 

これは、風媒花の花粉同様に、カビがまき散らした胞子を吸入することによってアレルギー症状などが引き起こされるからなのです。

 

ただ、花粉と大きく異なる点として、種類によってはカビ自体が発がん性などの毒性を持つ場合がありますので、より注意する必要があるといえるでしょう。